12/06/2011

焦燥感に焦がれる

同年代の友人から言われた言葉にハッとなった。
「模試でA判定のやつは落ちる、E判定のやつは遂には受かる」
これはまさにいまの自分の状態を端的に表してくれた言葉だと慄き、たじろぎ、痛点をピンポイントに突き、そのまま抉り出されたような気分だった。

そして「焦燥感が欲しいね」と。
返す言葉もなく、頷くことしか出来なかった。
9月終盤の模試ではなかなかの結果を残せた、そして完成していない教科を重点的かつ充填的に取り組めばこの程度…そう思っていた。そんな時にぶつけられた。それはもうどーんとかそんなチンケな擬音ではなくて、ずがんとかめきっとか変なノイズが入った音が聞こえた。

このままではまずいと深部では感じていたものの、表層でこのままでいいじゃないかとペースを緩め続けていた。もう何もしない寸前どころかちょうど何もしなくなった日だった。

何をすればいいか分かっているが、それはそれは膨大で、何から手を付けていいのか、そして何よりも逃げが心底に根を張っていた。
眠りという逃げ。この眠気は快適な眠りを運ぶわけではなくただ貪欲に時間だけを食い潰すだけの利点のないもの。この眠気に時間を何ヶ月分も食いつぶされて、気づけばこんな時期になっていた。勉強をしないにしても何か他にすることが、できる事があったろうに。

前回の模試では思わぬところで高得点を得て、自分から見ても前回よりもかなり伸びていて、なかなかの良成績であった。あの時から現在まで評価は変わっていないだろう。むしろ落ちているかもしれない。

次まであと一週間。
それまでにどこまで戻せるのか。まず思ったのはそんな不安だった。そしてこの不安は肥大化していった。一ヶ月後に思うような成績が修められるのか、もしも駄目だったとしたら…?そこから続けて一ヶ月後にも失敗をしたら?
今まで思い、焦がれ続けてきた東京が、そこに自分がいるという未来が、飾り立てる学歴が、さらに将来のための勉強が、何より今までと生活を変えられないというそれはもう最悪の現実と、幼年期から10年以上も思い続けてきた夢が打ち砕かれる。全てが終わってしまう。こんなところで。
過去に一度砕かれた夢をまた叶えるチャンスが、前回よりも大きくなって巡ってきているのにその目の前で、今度は外的要因ではなく自分の手で擦りもせずに通り過ぎて行くのを見逃す事になるのか。そう思うと目頭が熱くなり、自然と溢れるように涙が出てくる。
そもそもの話、なににそこまで惹かれたのか分かっていない。イレギュラーが好きで、そんな位置に身を置く事を義して生きてきた自分だが、この国で1番自分のファルスとは真逆のレギュラーの多い都市で自分は何をしようというのか。今まで特別だった場所が当たり前になるということを今通っている都市で感じてきた。ただそこに少しだけ、全身が入りきれていないという言葉にならない気分もあった。それが全て消え去り、姿形の見えない、あまりにも漠然とした夢を追い、都市に出てきた一大学生と成り果てるのだ。それのどこがイレギュラーなのか今考えても到底分からない。ただ異端者ではなく変わり者としてその都市でやっていけるという根拠のない自身はこれまでで消え去った。そこで今後社会と対峙するため個性を打ち消して生きるという覚悟を持ち、最初の目的として自分を満足させ憧れを満たすという決心をしなくてはならない。今、改めて灰となった自分と向き合うのだ。


これから2ヶ月で積み重ねてきた"焦がれ"についてどんな待遇をしてあげらるかが決まるのだ。今焦がれるのは夢ではなく、焦燥感。焦りから今まで信じ続けた自分の中身を引き出してみよう、そう思う。

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